2007年12月17日

14.軍司の功罪

「軍司君、怒られた」
一行が集まりつつある駐車場に現れたタッキーが、最初に放った一言がそれだった。

駐車場に戻ってきたメンバーは、軍司の功績を褒め称えていた。
それはそうだろう。
あれだけの重い荷物を抱えて、手ぶらで歩いてもうんざりするような距離を歩くというのは、想像するだけで疲れようというものだ。
それを回避できたのだから、その功績はいくら褒めても褒めたりないぐらいだ。
それに褒めるのはタダなのだし。

そこへタッキーが戻ってきた。
「いま、中原さん上層部に呼ばれて説教されてるわ」
場は一気に静まり返った。
曰く、車の手配は綿密な計画のもと行われており、勝手に動かされるとスケジュールが狂ってしまうとのこと。
さらに、ジプシー・アヴァロン出演者は原則として機材車の手配はナシ、という条件を承知の上で出演しているのだから、勝手なことをされては困る、のだそうな。
「仕方がないから行きだけは出すけど、帰りは出せんとのことやわ」

タッキーの説明を聞いて、軍司が一気にヘコむ。
「うわぁ〜・・・。俺もしかしていらんでええことした・・・?」
とはいえ、行きだけでも車を出してもらえるというのは正直ありがたいことだし、それがいい演奏に繋がるのであれば、それはそれでいいのではないか。
「軍司君、そうヘコむなよ。俺らが怒られて君らがいい演奏できるんやったら、問題ないやないか」
と、タッキーが軍司を慰める。


一行は機材を持って車両部へ。
機材だけでも運んでもらえたら恩の字、と思っていたのだが、結局メンバーおよびスタッフを運んでもらえた。
ありがたや。

車はホワイトステージ近くの専用駐車場に停まった。
そこで機材を降ろし、ジプシー・アヴァロンへ向けていざ出発。
と思っていたら、運転手の方に呼び止められる。
「帰りは何時に来ましょうか?」
・・・いや、車を出してもらえるのは行きだけのはずでは?
そう訊ねてみると
「いえ、帰りもきますよ。じゃ、終わってちょっと経ったぐらいに待機しときますんで、またここまできてください」
う〜む、なんとありがたい申し出だろう。
一行はお言葉に甘えることにした。

一行はジプシー・アヴァロンで中原さんと合流した。
「中原さん、すんませんでした」
会うなり軍司が謝ったが
「ラッキーだったね」
と、中原さんは気にしていない様子だった。
posted by hilao at 20:05| Comment(0) | 本文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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